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外国を周遊する際、訪問国ごとに通貨を用意できれば安心ですが、そうなると紛失・盗難の被害が心配です。そんなときにおすすめなのが「キャッシュパスポート」です。今回は、キャッシュパスポートの使い方や評判はもちろん、気になる手数料や注意点まで徹底解説します。
キャッシュパスポートの使える国
キャッシュパスポートにはマスターカードが搭載されており、多くの国・地域で利用できます(イラン、北朝鮮、シリア及びクリミアを除く)。
ショッピングは世界210以上の国と地域にある3,330万店以上のマスターカード加盟店で利用できます。海外キャッシングも、世界210以上の国と地域にある200万台以上「シーラス」(Cirrus)のマークのある銀行ATMであれば、利用可能です。
キャッシュパスポートの手数料を比較
キャッシュパスポートでショッピングやキャッシングを利用する際に、注意したいのが手数料です。せっかくお得に利用したと思っていても、思ったより手数料が高くついて損をすることもあります。
キャッシュパスポートのショッピング手数料をクレジットカードと比較!
まずは、キャッシュパスポートのショッピングに伴う手数料を、クレジットカードと比較してみましょう。
キャッシュパスポート | 楽天カード | 三井住友VISAカード | |
---|---|---|---|
海外事務手数料 | 無料 | 利用額の1.63%または1.6% | 利用額の1.63% |
未チャージ通貨での ショッピング |
4%かかる場合も | なし | なし |
キャッシュパスポートでは、以下の場合に手数料として4%がかかります。
- マイアカウント内での通貨移動(米ドル口座→ユーロ口座など)
- 利用金額を円口座残高または利用通貨とは別の通貨口座残高より引き落す場合(日本円口座から韓国ウォンの支払いなど)
チャージ手数料は1%かかるものの、同一通貨内で利用をしていればクレジットカードより手数料はお得です。
キャッシュパスポートの海外キャッシング手数料をクレジットカードと比較!
ショッピングと同様に、キャッシングでも手数料が発生します。ただし、キャッシングの場合はショッピングと発生する手数料が多少異なります。
キャッシュパスポート | 楽天カード | 三井住友VISAカード | |
---|---|---|---|
海外事務手数料 | 無料 | 無料 | 無料 |
ATM手数料 | 200円相当/回 | 216円/回 | 108円~216円/回 |
金利 | 無料 | 年18% | 年18% |
未チャージ通貨での キャッシング |
4%かかる場合も | なし | なし |
クレジットカードでのキャッシングは借金扱いになるため、金利が年18%程度発生します。一方のキャッシュパスポートは自分のお金を引き出すだけですので、金利は発生しません。これだけでも、キャッシュパスポートのキャッシング手数料がお得なことが分かります。
その他のキャッシュパスポートのメリット
キャッシュパスポートは、ショッピング・キャッシングともにお得な手数料、多彩なチャージ方法だけでなく、以下のようなメリットもあります。
スペアカードが発行される
キャッシュパスポートを申し込むと、2枚のカードが送られてきます。1枚は「オリジナルカード」、もう1枚は「スペアカード」です。紐づけされている口座は2枚とも同じですが、16桁のカード番号や暗証番号は異なります。
普段はオリジナルカードを利用するのですが、万が一オリジナルカードが紛失・盗難の被害に遭っても、スペアカードを持っていれば引き続き利用できます。また、スペアカードはカード番号・暗証番号ともに異なるため、オリジナルカードを利用停止にしても問題なく利用可能です。被害に遭ってもストレスなくキャッシュパスポートを利用できるのです。
日本にいる家族もチャージが可能
キャッシュパスポートは、カード保有者本人だけでなく、その家族もキャッシュパスポートへのチャージが可能です。事前に「入金委任状フォーム」に入力して登録をしておけば、あとは先ほど説明した手順でチャージができます。ただし、振込依頼人名は家族の名前ではなく、「カード保有者本人の名前」を入力してください。
使い過ぎてどの口座にも残高が少ないが、インターネットバンキングを持っていないので自分ではオンラインチャージできない、そんなときでも、日本にいる家族からチャージしてもらえば、引き続き海外ライフを続行できます。
サポート体制が充実
キャッシュパスポートは、サポート体制の充実ぶりもメリットの一つです。日本人がよく行く国・地域であれば、24時間365日、通話料無料で以下のようなサービスを案内してくれます。
- 残高照会
- 暗証番号の確認
- キャッシュパスポート紛失・盗難時の連絡
- キャッシュパスポート取引履歴の問い合わせ
- 緊急時の現金手配
- 緊急時の電話での簡易通訳
- 緊急メッセージサービス
電話での簡易通訳やカード残高の一部の現金手配は、他の海外プリペイドカードやクレジットカードにはないユニークなサービスですので、覚えておくと便利でしょう。
キャッシュパスポートのデメリット
これまでメリットばかりを強調してきましたが、キャッシュパスポートにはもちろんデメリットもあります。デメリットを事前に知っておくことで、より効果的な使い方ができるというものです。
キャッシュパスポートの両替レートはあまり良くない
クレジットカードを海外で利用した現地通貨の支払いは、日本円に両替した上で利用者に請求されます。マネパカードの場合、日本円以外の5通貨が使える国であれば、事前に両替したレートが適用されます。クレジットカードや他の海外プリペイドカードと比較して両替レートはどうなのか、比較してみましょう(2018年9月3日現在、ネオマネーのみ2018年7月19日現在)。
キャッシュパスポート | マネパカード | クレジットカード(マスターカード) | ソニーバンクウォレット | ネオマネー | |
---|---|---|---|---|---|
1米ドル | 113.43円 | 111.958円 | 111.10円 | 111.33円 | 112.98円 |
1ユーロ | 133.47円 | 129.891円 | 129.82円 | 129.06円 | 131.55円 |
1英ポンド | 151.74円 | 144.970円 | 144.73円 | 144.15円 | 147.98円 |
1豪ドル | 87.54円 | 80.560円 | 80.68円 | 80.35円 | 83.40円 |
ネオマネーは上記レートに4%がプラスされ、クレジットカードも事務手数料として1.6%程度は加算されます。しかし、キャッシュパスポートとそれ以外のカードをレートだけで単純に比較してみると、キャッシュパスポートの両替レートが最も悪いです。
国内では使えない
海外プリペイドカードのライバルであるマネパカードは、国内ショッピングでも利用できますが、キャッシュパスポートは文字通り海外専用ですので、日本国内で利用できません。一度チャージをすると、余った残高は次の海外旅行まで眠らせておかなければならないので、もったいないですね。
手数料がいろいろとかかる
ただし、12か月間キャッシュパスポートの利用や入金がないと、13か月目より150円/月(または外貨相当額)が発生します。キャッシュパスポートを使わない予定なら、「払い戻し」「退会」をすればカード保有者本人の口座にカード残高が清算されて振り込まれますが、その手数料として500円(税別)が発生します。
さらに、キャッシュパスポートは、チャージのたびにチャージ金額の1%を手数料として徴収します。1%は結構大きいです。
キャッシュパスポートの使い方
キャッシュパスポートは海外専用プリペイドカードのため、まずはカードにチャージ(入金)を行なってから、海外でのショッピングやキャッシングに利用できます。以下で詳しく説明しましょう。
まずはチャージ(入金)が必要
まずはキャッシュパスポートにチャージをします。キャッシュパスポートは専用口座を開設しており、銀行名などは以下のようになっています。
- 銀行名:三井住友銀行
- 支店名:すずらん支店
- 振込先名義:マスターカードプリペイドマネージメントサービシーズジャパン(カ
また、キャッシュパスポートは9通貨の専用口座が以下のように設定されています。
希望通貨名 | 口座番号 | 希望通貨名 | 口座番号 |
---|---|---|---|
日本円 | 普通 2456011 | NZドル | 普通 2456066 |
米ドル | 普通 2456022 | カナダドル | 普通 2456077 |
ユーロ | 普通 2456033 | シンガポールドル | 普通 2456088 |
英ポンド | 普通 2456044 | 香港ドル | 普通 2456099 |
豪ドル | 普通 2456055 |
※日本円は、残り8通貨が通用しない国・地域で利用する場合に使います。
キャッシュパスポートの振込方法は、金融機関ATM・窓口、インターネットバンキングですが、ここではインターネットバンキングを例にチャージ方法を紹介しましょう。
- インターネットバンキングにログイン
- 「振込」をクリック
- 「依頼人名・出金口座」(カード番号16桁+カード保有者名)を入力
- 先ほど説明した「銀行名」「支店名」「口座番号」と「振込金額」を入力
- 内容を確認の上で振込実行
海外キャッシングの使い方
チャージが完了すれば準備完了です。まずは海外キャッシングの利用方法を説明しましょう。対応している銀行ATMを見つけたら、以下の手順で利用してください。
- キャッシュパスポートをATMに挿入(ATMの種類によってはスライド)
- 暗証番号を入力
- 「現金の引き出し」を選択
- 口座種別で「CREDIT」を選択
- 出金したい現地通貨の金額を入力
- カード・現地通貨・利用明細を受け取る
海外ショッピングの使い方
海外ショッピングでは、マスターカード加盟店で以下の手順で利用しましょう。
- 商品を持って行き、レジ店員に「クレジットカード払い」を伝える
- 端末に暗証番号を入力して緑色の「確認」ボタンを押す(暗証番号ではなくカード裏面と同じサインを求められる場合もある)
- 商品・カード・利用明細を受け取る
キャッシュパスポートの申込方法・年齢制限・審査基準
キャッシュパスポートの申込はインターネットのみ
キャッシュパスポートの申込~利用開始までの流れは、以下の通りです。
- 「お申込み」をクリック
- 必要情報を入力したら申込完了
- 申込から約1週間後に郵便局から通知書が届く
- 郵便局に連絡して本人限定受取郵便物を届けてもらう
- 本人確認書類・印鑑(サインでも可)を用意して本人限定受取郵便物を受け取る
- 専用口座にチャージする
- マイアカウントを開設する
キャッシュパスポートの郵便物の中には、マイナンバーを提出するための封筒が入っています。マイナンバーカードや通知カードをコピーした上で、返送しましょう。これで手続きは完了です。
キャッシュパスポートは年齢制限なし
キャッシュパスポートには年齢制限がありません。ですので、90歳のご老人でも小学生でもキャッシュパスポートを持つことができるのです。未成年者が申し込む際には親権者の同意が必要となりますが、海外旅行に行くお子さんのお金の管理が心配な親御さんには、ピッタリなカードです。
キャッシュパスポートには与信審査がない
クレジットカードは借金扱いのため、与信審査があります。一方のキャッシュパスポートは形を変えて自分のお金を使うだけなので、与信審査はありません。過去に債務整理の経験があるが海外で使えるカードが欲しい人に、いいですね。
安心・安全なキャッシュパスポート
キャッシュパスポートには、少し高い手数料や為替レート、国内で利用できないなどのデメリットがあるものの、それを補って余りあるメリットがあります。
特筆すべきは、その安全性の高さです。万が一キャッシュパスポートが紛失・盗難の被害に遭っても、利用停止をすればチャージ残高は保護されます。その一方、スペアカードがあればその状態でも引き続き使えます。サポートデスクの電話サービスも非常に充実しています。小さなお子さんも持つことができるキャッシュパスポートですので、安全なのはうれしいです。